【1】PLの意味
「PL」とは、「Product Liability(プロダクト・ライアビリティ)」の頭文字をとった略称であり、製造物責任を意味する言葉です。
たとえば、購入したばかりのテレビを見ていたら、突然、テレビが発火して、自宅が全焼してしまったとします。
このとき、テレビの使用方法を誤ることなく、通常の方法どおりに使用していたにもかかわらず事故が起きた場合、すなわち、製品の欠陥が原因となって事故が発生した場合には、テレビを製造・輸入した者は損害を賠償する責任を負う、ということになります。
【2】さまざまなPL案件
PL事件の対象となる「製造物」とは、「製造又は加工された動産」です。
具体的には、食品、家庭電器製品、機械設備、自動車製品、医薬品、化粧品、日用品、コンピュータ製品等の欠陥が原因となって発生した事故が、PL事件の対象となってきます。
【1】民法では「過失」の証明が難しい
PL法(製造物責任法)が制定されるまでは、製造物の欠陥が原因となって生じた事故については、民法の不法行為によって解決されてきました。
この不法行為の理論では、製造、輸入した者に「過失」が存在することが必要でした。
ところが、この「過失」を立証することは、製造物や製造過程についての詳細な情報が必要なのですが、これらは企業側が有している情報ですので、消費者側がこれらを取得して過失を立証することは非常に困難でした。
のみならず、製造物の欠陥は、製造物に潜んだ特殊な危険であることが多く、企業側が充分に注意をしていながらも、欠陥が生じてしまい、それが原因となって事故が発生してしまうことがありました。
このような場合には、製造物には欠陥がありながらも、企業側が充分に注意をし尽くしたということで、「過失」が認められないことになっていました。
しかし、これでは、消費者は救済を受けられないことになってしまいます。
【2】製造物責任法による立証の緩和
このように「過失」の立正が困難な民法の法理では、消費者が犠牲となり、企業が保護されるという結果になるため、公平を欠いてしまう点が意識されるようになりました。
そのような意識を受けて、PL事件においては、「過失」の有無にかかわらず、製品に「欠陥」が存在し、その「欠陥」が原因となって事故が発生した場合には、当該製品を製造、輸入した者は損害賠償責任を負う、という内容を規定したPL法が1995年に制定されたのです。